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「在職老齢年金」とは

年金

あまりよく知られていない在職老齢年金とは?

聞いたことがないという人もいるかと思いますが、日本には在職老齢年金という制度があります。
参考: http://www.denshikikin.or.jp/c/c_05.html
老齢年金を受け取る事が出来る人が、厚生年金被保険者という形で働く場合、年金と給与を調整する仕組みがあるのです。
給与が高い場合は、年金の一部若しくは全額が減額されるという仕組み、これが在職老齢年金となります。

年金

簡単に説明すると、60歳代前半については、年金月額、給与月額を合計し28万以下の場合年金を全部受け取る事が出来る、28万を超える場合、一定の計算式がありそれに基づき年金が減額されるという仕組みです。
年金月額は正確に示すと基本月額について、特別支給の老齢厚生年金の年金額÷12で求められます。

これについては加給年金額がある場合でも、加入年金額を含めずに計算です。
給与月額は総報酬月額相当額について、標準報酬月額とその月以前、1年間の標準賞与額の総額を12で割り求めます。
28万という数字は毎年改定されることがあるので確認が必須です。

基本的な年金カットについてみてみよう

年金月額と給与月額を足して28万を超えた場合、「超えた分について半分に相当する額の年金がカット対象」となります。
例を挙げてみると、年金月額が10万という場合で、給与月額が32万、その月以前の1年に賞与がないという場合には、{(10+32)-28}×1/2=7です。

本来は月額10万貰えるはずの老齢厚生年金が「厚生年金被保険者」として労働していることで、月額7万もカットされ、実質支給年金は10万貰える所、3万しかもらえないことになります。
これが給与月額50万となりその月以前の1年間に賞与支給無という場合、年金が全てカットされるということになるのです。
つまり、この場合、年金全額支給停止という状態になります。

60歳代前半で経営者の場合、通常、年金全額支給停止となる可能性が高いといえるのです。
自分が年金を受け取るときになって、こういうシステムなんだという事を理解する人も多いとされています。

60歳代後半の在職老齢年金の場合

60歳代後半、また60歳代前半の役員の方等もそうですが、年金月額と給与月額合計額が46万以下となる場合年金を全額受け取る事が出来るのです。
これ以上になると一定の計算式によって減額となります。
つまり、60歳代前半の方と金額が28万から46万にかわるという事です。

この金額についても、年度によって改定となる事が多いので確認が必要となります。
こうした制度がある事を知らずにいると、その年齢になって色々な事を考えなければならなくなるのです。
今から理解し、この年齢に到達してあせらないようにしなければならないと思います。

70歳以降についてはどうなるのか

70歳を過ぎてからも元気に働く人が多くなっている現代です。
70歳以上で在職老齢年金を受け取る場合についても理解が必要になります。
この70歳以上という年齢の場合も60歳代後半年齢を同じ仕組みです。
気を付けるべきこととして、平成27年10月1日以降、昭和12年4月1日以前生まれという方でも、年金と報酬調整の仕組みの対象となります。

70歳になれば厚生年金適用事業所で働く場合も、厚生年金の被保険者資格を持つことはできなくなるのです。
そのため、厚生年金保険料については支払う義務が無くなります。
但し、年金をもらう場合、厚生年金の適用事業所で勤務すれば、70歳以降も年金の減額があるのです。

つまり働いている中で役員報酬が一定額以上という場合、例えば経営者などの場合、現役でいる限り老齢年金と経過的加算分(差額加算)についてしか受け取れないという状態になります。
ずっと長いこと保険料を払ってきた、でも、今の働き方では老齢厚生年金を受け取る事が出来ないというもったいない状態となってしまうのです。

この対策として、役員報酬を引き下げる事や、常勤役員の退任などを行う事も多いといいます。
こうした老齢厚生年金についての知識を持っていなければ、対策を練ることもできないのです。